2019-10-04

何週間か、ヴァージニア・ウルフの日記を、少しずつ読んでいた。ウルフは、そこらに転がっているテンプレでは記述し得ないものを記述するという無理ゲーを、終生続けた人だけど、もう圧倒的に立派なんだ。テンプレで処理できない、オリジナルな記述。それを目指して苦闘して、初稿は1400ページとかまで膨れ上がる。それをウルフは何度も何度も、14回とか18回とか、全文タイプし直し、弱い部分を削りに削っていく。その過程で、ウルフの自作への評価は、これは傑作ではないかというのと、自分の才能は完璧に尽きた、もう終わりだ、という両極を忙しく行き来する。凄いと思うのは、その行き来を半年とか1年とかかけ、場合によっては何週間もの間、これは駄作だ、自分は完全に終わったと、日記も書けないどん底に沈みながらも、手を入れる作業を投げ出さないこと。ウルフは最後までやりきる。最後まで自作への確信の持てない中、やりきる。


ウルフは書評や批評によく気を病んでいるのだけれど、書評・批評した人は現代的に見て、誰一人として残ってない。ウルフの作品は残った。今後も残る。

ある作家の日記 [新装版]

ある作家の日記 [新装版]